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これからAIは、医療の中でますます使われるようになると思います。
症状を入力すれば、
「この病気の可能性があります」
「この検査を考えてください」
と、たくさんの情報を教えてくれます。
AIはとても便利です。
医師にとっても、患者さんにとっても、大きな助けになります。
しかし、私は一つ、とても大切なことがあると思っています。
AIは、患者さんを実際に診察しているわけではありません。
患者さんが入力した「言葉」をもとに病気を考えます。
しかし実際の医療は、教科書どおりにはいきません。
「胸が痛い」と言っても、
心筋梗塞かもしれない。
肺の病気かもしれない。
帯状疱疹かもしれない。
筋肉痛かもしれない。
不安やストレスが関係していることもあります。
同じ「胸が痛い」という言葉でも、
患者さんの年齢、表情、顔色、呼吸、血圧、脈拍、これまでの病気、飲んでいる薬、生活背景によって、医師の判断は変わります。
医師は患者さんの話を聞きます。
そして、顔を見ます。
体に触れます。
聴診します。
これまでの経過を知ります。
必要なら血液検査をする。
心電図をする。
CTやMRIを撮る。
専門医へ紹介する。
そして、その結果を踏まえて、
「この患者さんをどうするか」を決めます。
さらに大切なのは、その先です。
今日診断して終わりではありません。
「薬を飲んで、その後どうなったか。」
「症状はよくなったか。」
「別の症状が出ていないか。」
「生活できているか。」
また診る。
また考える。
必要なら診断を修正する。
そして最後まで患者さんを診続ける。
これが医療です。
AIは病気について教えてくれる、非常に優秀な道具です。
しかし、患者さんの前に座り、
診察し、
判断し、
必要な検査を行い、
治療方針を決め、
その判断に責任を持ち、
その後も患者さんを診続ける。
それをするのは医師です。
だから私は、AIと医師は競争するものではないと思っています。
AIは医師を助ける。
医師は患者さんを診る。
この関係が、これからの医療では大切です。
そしてAIの時代だからこそ、
「何かあったら、まずこの先生に相談しよう。」
そう思える医師を一人持つことが、今まで以上に重要になります。
何でも相談できる。
いつもの薬もまとめて診てもらえる。
必要なら専門医につないでもらえる。
そして、その後もまた診てもらえる。
それが、総合診療かかりつけ医です。
AIから情報をもらうことはできます。
しかし患者さんが最後に求めているのは、
病名の候補だけではありません。
「先生、私は大丈夫ですか。」
その問いに向き合い、
「大丈夫です。一緒に診ていきましょう。」
と言って、その後も診続けてくれる人です。
AIが発達すればするほど、
人と人との医療、
そして総合診療かかりつけ医の価値は、
むしろ大きくなっていくと私は考えています。