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総合診療かかりつけ医が全国に拡がれば、
地域医療は守られる

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きくち総合診療クリニック全国アンケート 自治体の保険課・保健センターに勤めている方の8割が、総合診療かかりつけ医が必要と回答

【高齢化社会と地域医療】約6割が住民への対応を不十分だと感じている!医療機関の増加では解決できない課題が浮き彫りに

医療法人ONE きくち総合診療クリニック(本社所在地:神奈川県綾瀬市、理事長:菊池 大和)は、自治体の保険課、または保健センターに勤めている方を対象に、「地域医療の現状」に関する調査を実施しました。

 

地域医療は住民の生活を支える基盤であり、地域医療の質はその地域の暮らしやすさを左右します。

 

しかし、医療施設の偏在や医師不足、高齢化への対応など、地域医療が抱える課題は年々深刻化しています。

特に医療資源が限られた地域では、「近くに病院が少ない」「医師に診てもらうまでの時間が長い」といった相談が自治体に寄せられることも少なくありません。

 

こうした現状に対し、自治体はどのような対応を行い、どのような課題に取り組んでいるのでしょうか。

また、住民が身近な医師と継続的な関係を持つことで、緊急医療の負担軽減や医療費の抑制が期待できますが、かかりつけ医はどの程度普及しているのでしょうか。

 

そこで今回、医療法人ONE きくち総合診療クリニック(https://kikuchi-geclinic.jp/)は、自治体の保険課、または保健センターに勤めている方を対象に、「地域医療の現状」に関する調査を実施しました。

 

調査概要:「地域医療の現状」に関する調査

【調査期間】2024年12月6日(金)~2024年12月9日(月)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】518人
【調査対象】調査回答時に自治体の保険課、または保健センターに勤めていると回答したモニター
【調査元】医療法人ONE きくち総合診療クリニック(https://kikuchi-geclinic.jp/index.html
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ

 

地域医療として単に医療機関を増加するだけでは解決しない課題が浮き彫りに

はじめに、「どんな方が相談に来ることが多いですか?(複数回答可)」と質問したところ、『高齢者(58.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『小さな子どもを持つ親(44.6%)』『妊婦さん(26.6%)』となりました。

 

様々な住民がいる中で地域に相談にくる方として高齢者が最も高く、約6割という結果になりましたがどのような悩みを抱えているのでしょうか。

 

「悩み相談として、経験があるものを選択してください(複数回答可)」と質問したところ、『どこの病院に行けばいいかわからない(35.3%)』と回答した方が最も多く、次いで『遠くて通院が難しい(29.3%)』『病院が少ない(24.9%)』となりました。

 

アクセス面や病院の絶対数の少なさも上位に挙がっていますが、そもそもの病院選択が難しいといった相談が最多になりました。これは医療機関の数を増やすだけでは、解決が難しい側面を持っています。この背景には、「どの診療科を受診すべきか判断できない」「自分の症状がどの専門分野に該当するかわからない」といった悩みが表れていることが示されました。

 

こういった悩みに対して、地域として十分な対応ができていると感じる方はどの程度いるのでしょう。

前の質問で『特にない』と回答した方以外に、「こういった悩みに対し、地域医療として十分な対応ができていると感じますか?」と質問したところ、約6割の方が『全く感じない(11.5%)』『あまり感じない(52.0%)』と回答しました。

 

十分な対応ができていないと感じる方が6割以上と、地域医療の課題解決が十分でないという認識が広がっている様子がうかがえます。

 

では、十分な対応が難しい要因として考えられることは何なのでしょうか。

 

「十分な対応が難しいと感じている要因として考えられるものを選択してください(複数回答可)」と質問したところ、『医療機関の偏在(37.6%)』と回答した方が最も多く、次いで『地域密着の医療機関が少ない(37.6%)』『医師や看護師の不足(37.3%)』となりました。

 

医療機関の特性などが主要因として示されました。また、医師や看護師といった人材不足に関しても上位に挙がっています。

 

地域医療の課題感は『地域住民の医療ニーズの多様化』が最多

次に、「自治体で、地域医療において最も顕著な課題は何だと感じますか?」と質問したところ、『地域住民の医療ニーズの多様化(18.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『医師不足(17.6%)』『住民の高齢化への対応(15.6%)』となりました。

 

最多の課題として提示された「地域住民の医療ニーズの多様化」には、特定の専門医療機関だけでは十分に対応しきれない現状を示唆しています。このことから、幅広い診療科目や多様な症状に対応できる、総合的な対応力を持つ医療機関の必要性が高まっていると考えられます。

 

そのような課題を解決するには、どのような取り組みが重要だと思うのでしょうか。

 

「今後の地域医療の課題解決において、重要な取り組みは何だと思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『救急医療体制の充実(37.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『地域医療の担い手(医療人材)の確保と定着(35.9%)』『既存医療施設の機能拡充(32.1%)』となりました。

 

課題解決に向けた取り組みとして、医療体制の充実や人材の確保と定着、既存医療施設の機能拡充などが重要だと判明しました。

また救急という、いつでも対応が可能という対応力の高さも求められているようです。

 

約8割の方が総合診療かかりつけ医の必要性を感じている!

ここまでの調査結果で地域医療の課題がわかりましたが、自治体としてどのような特徴をもった病院や医師が必要だと感じているのでしょうか。

 

「病院や医師の特徴としてどのくらい自治体として必要だと感じますか?※「とても必要」「やや必要」「あまり必要じゃない」「全く必要じゃない」の4つから選択」と質問したところ、以下のような回答結果になりました。

「とても必要」だと感じられている項目においては、他医療機関との連携力や、地域住民に近い距離にあるという点が明らかになりました。

 

さらに、どんな症状でも診療が可能といった点は重視されており、特定の専門分野に特化という点はとても必要だとは感じられていない現状から、地域医療としてはまず幅広い症状に対応できる点がより重視されるようです。

「総合診療かかりつけ医が増えることは、地域医療にとって必要だと感じますか?※総合診療かかりつけ医=いつでも、なんでも、だれでもまず診ることができる医者」と質問したところ、約8割の方が『とても感じる(35.9%)』『やや感じる(46.0%)』と回答しました。

 

多くの方が総合診療かかりつけ医の必要性を感じており、地域医療の改善にとって重要だと考える様子がうかがえる結果になりました。

 

まとめ:高齢化と多様化する医療ニーズという背景から読み取れる「地域医療」が抱える課題と解決への道筋

今回の調査で、自治体の保険課、または保健センターに勤めている方が感じている地域医療の現状や課題などが明らかになりました。

 

相談者としては、高齢者が最も多くなり、地域における高齢化が示唆されています。また、住民から最も多く寄せられた相談内容は「どこの病院に行けばいいかわからない」(35.3%)であり、地域医療の課題は単に医療機関を増加させるだけでは解決しないことが浮き彫りになりました。

 

医療機関があっても、住民が自身の症状に適した診療科や施設を選べないという問題が根本にあり、これは住民の医療リテラシーの向上や、まず相談ができるような医療機関の必要性を示しています。

 

さらに、地域住民の医療ニーズは多様化しており、高齢者や子育て世代、妊婦など、さまざまな背景を持つ住民に対応する必要性が高まっています。この多様化は、医療機関の特化型対応では不十分であり、特定の専門分野に特化という点は地域医療としての必要性の中では低く推移していたことからも、幅広い診療能力を持つ医療機関や柔軟な体制が最優先で不可欠であることを示しています。

 

供給側の課題としては、医師や看護師などの医療人材の不足や、医療機関の偏在が挙げられます。これらの問題は地域医療を維持する上での大きなハードルであり、医療人材の定着を促す支援策や、医療施設の機能を拡充して地域全体の医療アクセスを向上させる取り組みが求められます。

 

また、医療施設の規模や設備だけでなく、住民との信頼関係を重視する医療体制が、地域住民の安心感を支える重要な要素であることも明らかになりました。

 

この解決方法の1つとして、総合診療かかりつけ医の普及が考えられます。「いつでも」「なんでも」「だれでも」をモットーとした総合診療かかりつけ医は医療ニーズの多様化や診療科選択の悩みに対応しつつ、救急医療や医療介護連携の充実も図れる可能性があり、地域全体の医療の質を向上させるカギとなりえるのではないでしょうか。