ブログ
Blog
Blog
「高齢者は大学病院、総合病院に通うほど安心」というイメージを持つ方は少なくありません。しかし、すべての高齢者にとって大学病院が最適とは限りません。むしろ、病状が安定している高齢者では、地域の総合診療かかりつけ医が継続的に診るほうが安全な場面も多くあります。実際に病院も、専門治療が終了し病状が安定した患者は地域のかかりつけ医へ戻る「逆紹介」を積極的に進めています。
「高齢者が病院だけに通院することには、
8つの危険があります。」
① 病気は診ても、生活は診てもらえないことがある
病院は専門治療を行う場所です。
しかし高齢者は、
こうした生活の変化こそが命に関わることがあります。
これは外来で数分診察する専門外来だけでは気づきにくいことがあります。
② 専門ごとに分かれ、全体を診る医師がいなくなる
循環器。
腎臓内科。
整形外科。
脳神経外科。
それぞれは自分の専門を診ます。
でも、
「全部合わせると、この人はどういう状態なのか」
を見る人がいなくなることがあります。
③ 薬がどんどん増える
高齢者は5科、6科と通院すると、
薬が10種類、15種類になることも珍しくありません。
眠気。
ふらつき。
転倒。
食欲低下。
実は病気ではなく薬が原因ということもあります。
薬を全部見直せる医師が必要です。
④ 小さな変化を見逃しやすい
毎回違う医師。
研修医が診ることもあります。
診察間隔も3〜6か月。
その間に、
「何となく元気がない」
という変化が積み重なります。
家族しか気づかない変化を拾えるのは、日頃から診ているかかりつけ医です。
⑤ 通院そのものが大きな負担
病院は
80代、90代には、それだけで一日仕事です。
疲れて体調を崩す方も少なくありません。
⑥ 新しい病気が相談しにくい
今日は腎臓。
今日は心臓。
今日は整形。
「最近眠れません。」
「家で転びました。」
「認知症かもしれません。」
こうした相談は、「今日はこの科ではありません」となりやすいことがあります。
その結果、受診先を探すだけで何週間もかかることがあります。
⑦ 本当に危険な病気を見逃すことがある
これは実際によくあります。
腰痛だから整形外科。
胸痛だから循環器。
腹痛だから消化器。
でも本当は、
腹部大動脈瘤、
肺がん、
膵臓がん、
多発性骨髄腫、
うつ病、
薬の副作用。
専門科だけでは見つけにくい病気が隠れていることがあります。
⑧いざというときに診てもらえない
病院は基本的には予約が必要です
また受付で担当がいないから、専門医がいないからと
断られてしまいます。
特に高齢者は、いざというときにみてもらいたいですし
そのような時に怖い病気にかかるものです。
いざというときの先生と、いつもの先生が同じであれば
話も早いですし、スムーズに検査、治療にすすめます。
私が一番伝えたいこと
私は病院が悪いと言いたいのではありません。
病院は、高度な専門医療を提供する大切な場所です。
だからこそ、
高度な治療は病院。
普段の健康管理は地域のかかりつけ医。
この役割分担が最も安全です。病院も、高度・専門医療を担い、病状が安定した患者さんは地域の医療機関へ紹介するという機能分化を進めています。
最後に、私は患者さんによくこうお話しします。
病院は、専門の病気を治す場所です。
でも、人生を支えるのは、
いつでも相談できるかかりつけ医です。
高齢になるほど必要なのは、
『たくさんの専門医』ではなく、
『あなたのことを全部知っている一人の医師』
なのです。」