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2040年に「総合診療かかりつけ医」が日本中に必要になる最大の理由の一つは、医療費の問題です。
ポイントは、「医療を削る」のではなく、無駄な医療を減らし、本当に必要な医療にお金を使える仕組みに変えることです。
政府の2018年時点の将来推計では、国民医療費は2018年度45.3兆円から、2040年度には計画ベースでも76.3~78.3兆円、現状を機械的に延長した場合には78.1~80.2兆円程度になると試算されていました。これは古い推計なので現在の確定予測ではありませんが、2040年に向けて医療費の持続可能性が大きな政策課題であることを示しています。
さらに現在の厚生労働省の2040年地域医療構想では、85歳以上の高齢者が大きく増えることが前提です。2020年と比較して2040年には、85歳以上の救急搬送が75%増、85歳以上の訪問診療需要が62%増すると見込まれています。
ここで問題になるのが、今の日本に残っている、
「症状ごとに患者自身が専門医を探して受診する医療」
です。
高齢者になればなるほど、病気は一つではありません。
高血圧は循環器内科。
糖尿病は糖尿病内科。
腰痛は整形外科。
不眠は心療内科。
頻尿は泌尿器科。
物忘れは脳神経内科。
こうして5つ、6つの医療機関に通えば、診察料だけの問題ではありません。
検査が重なる。
CTやMRIが重なる。
採血が重なる。
薬が増える。
同じような薬が重複する。
薬同士の相互作用が起こる。
そして体調を崩せば救急車で大病院へ行く。
厚生労働省自身も、同じ疾患で複数の医療機関を受診することによる意図しない重複・多剤投薬が、不要な薬剤費と副作用リスクを増大させることを課題として明示しています。
2040年に必要なのは、
患者一人に対して、医療全体を俯瞰する医師を一人置くことです。
それが「総合診療かかりつけ医」です。
たとえば80歳の患者さんが、
「最近食欲がない。少し息苦しい。足もむくむ。腰も痛い」
と言ったとします。
現在の医療では、循環器、消化器、整形外科……と患者自身が医療機関を回る可能性があります。
総合診療かかりつけ医なら、まず一人の医師が、
「心不全なのか」
「薬の副作用なのか」
「感染症なのか」
「腎機能なのか」
「がんなのか」
「単なる筋骨格系の痛みなのか」
と全体を見て整理する。
そこで診断・治療できるものは地域で診る。
そして、
専門医が本当に必要な患者だけを専門医へ紹介する。
専門治療が終われば、
また総合診療かかりつけ医に戻す。
この循環ができれば、厚生労働省が目指している「医療機関の役割分担」「連携」「入院後に日常生活へ戻る医療」とも方向性が一致します。
お金の視点からお話しましたが
なにより患者さんのためです。