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私は診察をしていて、いつも思うことがあります。
それは、人の体は、全部つながっているということです。
医学は、内科、整形外科、循環器内科、消化器内科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科……と細かく専門化してきました。
しかし、人間の体は、そんなふうに分かれてはいません。
頭が痛いからといって、原因が頭にあるとは限りません。
腰が痛いからといって、原因が腰にあるとも限りません。
動悸の原因が心臓ではなく、貧血や甲状腺の病気であることもあります。
食欲がない原因が胃ではなく、肺炎や心不全、うつ病であることもあります。
腰痛の原因が腹部大動脈瘤であることもあります。
足のしびれの原因が糖尿病ではなく、脳梗塞であることもあります。
繰り返す肺炎の背景に、飲み込みの障害や認知症が隠れていることもあります。
つまり、一つの症状や一つの臓器だけを診ていては、本当の原因にたどり着けないことがあるのです。
そして、つながっているのは体だけではありません。
眠れないことが血圧を上げます。
家族の介護疲れが食欲を奪います。
一人暮らしの不安が、体の痛みとして現れることもあります。
病気は、その人の体だけでなく、生活、心、家族、過去の病気、そして飲んでいる薬まで、すべてと深く関係しています。
だから私は、症状だけを切り取って診ることはできません。
頭痛だけ、腰痛だけ、血糖値だけを見るのではなく、
「この人の体の中で、今、何が起きているのか。」
「この人の生活に、何が起きているのか。」
そこまで考えて初めて、本当の診療が始まるのだと思っています。
だから私は、病気ではなく、人を診ます。
頭の先から足の先まで。
今の症状だけではなく、これまでの病気も、飲んでいる薬も、生活も、ご家族のことも含めて診ます。
それが、総合診療かかりつけ医の役割です。
専門医療が進歩した今だからこそ、体全体を一つとして診る医師が、これまで以上に必要になっています。
医学は専門化しました。
しかし、人間の体は専門化していません。
医療は細かく分かれました。
でも、人の体は一つです。
だからこそ、患者さん全体を診る総合診療かかりつけ医という存在が、これからの日本の医療には欠かせないのです。
もう一つ、皆さんに考えていただきたいことがあります。
原因を探すために、特に体の弱い高齢者の方が、自分で病院を探し回らなければならない。
今日は整形外科。
次は循環器内科。
その次は脳神経外科。
また別の日には消化器内科。
本当に、これが患者さんのための医療なのでしょうか。
私は、おかしいと思います。
病気の原因を探すために、一番つらい患者さん自身が、どの病院へ行けばいいのかを考え、予約を取り、何時間も待ち、何度も受診を繰り返す。
それは本来、患者さんの仕事ではありません。
医療の仕事です。
だから私は、いつも思うのです。
「この方の、かかりつけ医は誰なんだろう。」
患者さんが病院を探すのではなく、かかりつけ医が患者さんを支え、必要な専門医へつなぐ。
専門医を探すのは患者さんではなく、私たち医師の役割です。
それが、本来あるべき医療だと私は考えています。