救急診療・総合診療・小児診療・CT/MRI
きくち総合診療クリニック

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総合診療かかりつけ医が全国に拡がれば、
地域医療は守られる

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笑顔

数年前から、当院に通院されていた女性が亡くなられました。

肺が悪く、肺炎を繰り返し、何度も総合病院への入退院を繰り返していた方でした。

いつも旦那さんと一緒に通院されていました。

お二人とも、いつも笑顔でした。

「大丈夫よ」

それが口癖のような方でした。

診察が終わると、必ず「ありがとう」と言ってくれました。

本当に素敵な笑顔でした。

毎日の診療は大変です。
忙しく、疲れてしまうこともあります。

そんなとき、お二人が診察室に入ってくると、なぜかほっとするのです。

病気でつらいはずなのに、いつも笑顔。

本来なら私が元気づけなければいけない立場なのに、いつも私のほうが勇気をもらっていました。

1か月ほど前、具合が悪くなり、総合病院に紹介しました。

そして先日、旦那さんから亡くなられたことを聞きました。

旦那さんは、若い頃の写真を見せてくれました。

昔から、本当に素敵な方でした。
笑顔がとてもきれいでした。

亡くなるときも、ご本人は納得されていたと旦那さんは話してくれました。

その話を聞いて、私は考えました。

私は、この方に医師として何ができたのだろう。

何度も肺炎になり、入院を繰り返し、それでも笑顔で通院されていた。

私はその笑顔に、何度も救われていました。

でも、私は何をしてあげられたのだろう。

医師は神様ではない。

そんなことは分かっています。

それでも、本当に生きたいと思っている患者さんを前にすると、医師という仕事の無力さを感じます。

どれだけ勉強しても、どれだけ一生懸命診療しても、救えない命があります。

何年医師をしていても、その現実はつらいものです。

では、私たち医師に何ができるのでしょうか。

患者さんが大変なときに、しっかり診察すること。

できる限りの治療をすること。

必要なときには、適切な病院につなぐこと。

そして、決して見捨てないこと。

安心して相談できる存在でいること。

医師として、かかりつけ医としてできることは、案外わずかなことなのかもしれません。

だからこそ、その一つひとつを誠心誠意やらなければいけないのだと思います。

医師は一生勉強です。

医学の勉強だけではありません。

患者さんから教えていただくことが、本当にたくさんあります。

医師は人の命を預かる仕事です。

だからこそ、絶対に偉そうにしてはいけないと思っています。

どんなに経験を積んでも、謙虚でいなければいけない。

患者さんの話を聞き、その人生に寄り添い、できることを考え続ける。

それが、私の考えるかかりつけ医です。

今でも、あの方の笑顔が目に浮かびます。

「大丈夫よ」

「ありがとう」

そして、あの素敵な笑顔で、

「先生、頑張ってね」

そう言ってくれているような気がします。

本当は、私が励まさなければいけなかったのに。

励まされていたのは、私のほうでした。

医師として、もっと何かできたのではないか。

その思いは、これからも残ると思います。

それでも、私はこれからも目の前の患者さんを誠心誠意診ていきたいと思います。

救えない命があることを知っているからこそ、できることを一つでも増やしたい。

安心してもらえる医師でありたい。

そして、あの方のような笑顔に、これからも応えられる医師でありたいと思います。

いつも笑顔をありがとうございました。

心よりご冥福をお祈りいたします。